イジワルなカレの愛情表現
「山田もいい加減学習しろ。こいつにはストレートに気持ちを伝えないといけないって。……お膳立てしてやったんだ、あとは自分でどうにかしろ」


その声と姿に、ドキッとしてしまう。

永瀬さんが山田さんを見る目は「仕方ない奴」と言いたそうに、愛情が含まれているように見えたから。


「……余計なお世話」


いきなり永瀬さんに自分の気持ちを暴露されてしまった山田さんは、忙しなく目を泳がせながら伏せてしまった。

その姿は年上の彼女にしたら失礼ながら、可愛いと思ってしまった。


しばし山田さんを見つめてしまっていると、繋いだままの手がギュッと握り返された。


「そういうことだ。俺達邪魔だし、行くぞ」

「――え」


一方的に言うと、永瀬さんはふたりに「あとでちゃんと報告しろよ」と言うと、出口へと向かっていく。


そしてカフェを出ると、真っ直ぐ駅へと向かっていった。
< 123 / 145 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop