イジワルなカレの愛情表現
それに今は電車の中。周囲に人が沢山いるというのに、自分の気持ちを伝えられるわけないじゃない。


慌てて口を紡ぐと、永瀬さんは私の気持ちなどお見通しなのか、わざとらしく顔を耳元に近付けてきた。


「じゃあ俺の部屋でその続き、聞かせて」

「――え」


顔を上げれば、至近距離で彼と目がかち合う。


「もちろんベッドの上でもいいけど」


そして付け足された言葉に、カッと顔が熱くなってしまう。


「何言ってるんですか」


悔し紛れに声を絞り出すも、永瀬さんはそんな私を見てますますニヤニヤするばかり。


「嬉しいくせに」

「っ嬉しくありません!」


私の好きな人は仕事ができて、かっこよくてイジワルな人だ。


こうなったらなにがなんでも、話してもらうんだから。

永瀬さんはどうして私のどこをいいと思ってくれているのかを。


そして私が永瀬さんをどれほど好きかってことも、たっぷり聞かせてあげる。



それから数分電車に揺られた後、手を繋いだまま永瀬さんの自宅マンションへと向かった。
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