イジワルなカレの愛情表現
ドキドキしながらもその手に触れた瞬間、思いっきり手を引かれてしまい、そのまま永瀬さんの胸の中に体重を預けてしまった。


「っすみません」


すぐに離れようとしたものの、素早く背中に回ってきた腕がそれを許してくれない。

ギュッと抱きしめられると、頭上から甘い声が降ってきた。


「逃がすわけないだろ? やっと柚香も俺のこと好きになってくれたんだから」


永瀬さんのことが好き。

それは間違いないことだけど、永瀬さんの口から言われてしまうと恥ずかしくなってしまう。


永瀬さんの大きな手が背中や髪に触れるたびに、心が蕩けていく。
幸せな気持ちで埋め尽くされちゃうよ。


願わくはずっとこのままでいて欲しい――そんな思いがよぎるも、慌てて気持ちを切り替え、なんとか顔だけ上げてずっと気になっていたことを聞いた。


「永瀬さん、聞かせてくれませんか?」

「ん? なにを」


掠れた声は甘さを含んでいて、また心臓が締め付けられる。


「だからそのっ……! えっと、永瀬さんは私のどこを好きになってくれたのかな、と思いまして」
< 127 / 145 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop