イジワルなカレの愛情表現
やっと追いついた時、私の息はすっかり上がってしまっていて、肩を上下に揺らしてしまう。


「なに? 悪いけど忙しいんだ」


必死に追い掛けてきたというのに、冷たい対応に少しだけムッとしてしまう。


そもそも永瀬さんがあんなこと言い出したから、こうやって引き留めているわけで。
それに私だって決して暇な人間ではない。

なのにそんな言い方はあんまりじゃないですか?


とは思うものの、もちろん口に出して言えるはずもなく顔の筋肉を強張らせながらも、彼の勘に触れないよう言葉を選んでいく。


「すみません、手短にお伝えします。……取材の件ですが、私には無理です」

「は?」


手短に。
その思いで単刀直入にズバッと言ったものの、あまりに険しい顔で「は?」と返されてしまい、怯んでしまう。

一歩後ろに後退りしてしまうと、すかさず永瀬さんは一歩距離を縮めてきた。


「無理って言われて、〝はい分かりました〟とでも言うと思っているのか?」


ジリジリと顔を近付けてくる彼に、身体は後ろへと反れていく。


「でっ、ですが……!」


すかさず反論しようとするも、間入れず彼が言葉を被せてきた。
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