イジワルなカレの愛情表現
疑問を投げ掛けると、いかにも彼らしい答えが返ってきた。


「そりゃもちろん、俺の言動に振り回されてあたふたする柚香が、見たかったからに決まっているだろ? ……想像以上に可愛かったよ」


唖然としてしまう。
本当に永瀬さんはイジワルな人だ。


「さて、と。これでちゃんと伝わっただろ? 俺の気持ち」

「……はい」


もう不安になんてならないよ。
永瀬さんはちゃんと私のことを知って、好きになってくれたと分かったから。


今度は私の番だ。
私も伝えたい、永瀬さんに自分の気持ちを――。


意気込み、いざ告白しようとした次の瞬間、トンと肩を押されバランスを崩した身体はソファーに倒れ込んでいく。


背中が触れた瞬間、ギシっと軋む音と共に、影ができた。

その陰の主はもちろん永瀬さんで、妖しい笑みを浮かべては私に覆いかぶさっている。


「えっと……永瀬さん?」


今の状況に頭の中はパニック状態。

激しく動揺させられている私を見下ろし、ますます彼は嬉しそうに口の端を上げた。
< 132 / 145 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop