イジワルなカレの愛情表現
「いっつも断れず尽くしまくるくせに、どうして俺の頼みは聞いてくれないわけ？」

「……はい？」


強張っていた顔が、一瞬にして固まってしまう。

それを見て、永瀬さんは右の唇の端を上げた。


「頼まれたら断れないタイプなんだろ？　おまけに頼まれていないことまでやっちゃうらしいじゃん」


顔が引きつっていく。
なのに永瀬さんはズバズバと私という人間の性質を述べていく。


「新人だからって腹を括っているのかもしれないけど、それは大きな間違いだって気づいていない？　いいか、なんでも安請け合いして、面倒な仕事ばかり押し付けられているのはなぁ、自分はもちろん押し付けてきた相手もだめにするんだよ」


空いた口が塞がらない。


私と永瀬さんは今日が初対面。そんな人がどうしてさも〝お前のことは知り尽くしている〟みたいに、ズバズバと言ってくるわけ？

私のなにを知っていると言うの!?


じわじわと怒りが込み上げてきてしまう。
感情は素直に顔に出てしまっていたようで、永瀬さんはバカにするように鼻を鳴らした。


「図星を言われて勘に触ったか？」
< 14 / 145 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop