イジワルなカレの愛情表現
怒りで顔が熱くなる。なのになにも言い返せないのは、彼が言うように図星だからだ。


どうして永瀬さんがそれを知っているのか分からないけれど、全て事実だ。

最初は新人だから、雑用や面倒な仕事を押し付けられてしまうのは仕方ないと思っていた。

けれどそれも入社一年を過ぎれば、私自身に問題があると理解できてきた。


言われるがまま引き受けてしまい、おまけに言われた以上のことをやってしまう。
純粋に相手のためを思ってやっていたことだけど、それは間違いではないか?と最近思うようになってきた。


永瀬さんの言う通り、私も相手もダメにしているのではないかと――。


悔しくて情けなくて、唇を噛みしめ拳をギュッと握りしめてしまう。


それも全て永瀬さんにしてみれば愉快なことなのか、ニヤニヤと勝ち誇ったように笑うばかり。


「悔しかったら少しは変わる努力をすることだな。俺はそのチャンスを与えてやったんだ。しっかり自分の仕事だけをこなせ。……期待している」

「……っ!」


そう言うと永瀬さんは、まるで子供をあやすように髪を乱暴に撫でると、足早に階段を下りていってしまった。
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