イジワルなカレの愛情表現
もちろんここで叫ぶわけにはいかず、ジョッキに残っていたビールを飲み干した。


「でもさ、さっきあのイケメン『尽くす女は嫌いじゃないよ』って言っていたじゃない? 柚香には、まさに理想の相手なんじゃないの?」


つまみの枝豆を頬張りながら、冗談交じりに言ってきた陽菜にギョッとしてしまう。


「冗談やめてよね! 私だって好みがあるの! それにさっきのだって私のことをからかっているだけだって」


私達の会話を聞いた後に出た言葉だもの。安易に信じてしまう方がおかしい。

それも分かって言っているんでしょ? 今も目の前でニヤニヤ笑っている陽菜の顔を見れば一目瞭然だ。


「見たまんまのいかにもモテそうな人って、すぐに浮気とか平気でしそうじゃん。その時点で恋愛対象外!」


言い切ると、陽菜は声を上げて笑い出した。


「そういえば柚香の彼氏って、みんな微妙な顔の人ばっかだったよね」

「微妙って言うな! 普通の人って言ってよね」


ゲラゲラ笑い続ける陽菜を牽制するも、全く効力を発揮していない。


「私はただ、幸せになりたいだけなの。……普通に恋愛して付き合って結婚して。その人に一生ついていきたい」

「〝一生尽くしていきたい〟じゃなくて?」
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