イジワルなカレの愛情表現
♯1【尽くす女のワケあり?恋愛事情】
「ごめん、お前重すぎる」
「――え?」
なんてことない駅前の人通りの多い歩道で、クルリと背を向け去っていく彼――。
チーンと頭の中でよく耳にする効果音が鳴った気がした。
「アッハハハハ! さすが尽くし過ぎる女! 重すぎるって言われて振られるなんてっ」
「もーうるさい! こっちは泣きたい気分なのに笑うな!!」
騒がしい居酒屋の店内で豪快に笑う親友に一睨みしながら、目頭が熱くなっていく。
あぁ、だめだ。つい数時間前のことを思い出すと本当に泣いてしまいそうだ。
前島柚香、二十四歳。
本日、付き合ってまだ一ヵ月しか経っていない彼氏に振られました。
しかも待ち合わせ場所に来た途端、あっさり一言「ごめん、お前重すぎる」と言われて。
ひとりになりたくなくて、目の前で大笑いしている高校時代からの親友、澤北陽菜を誘ったというのに……!
「重すぎるってなに? 好きなら尽くしたくなるものじゃない」
アルコールがほどよく回ってきて、饒舌になっていく。
「美味しい料理食べさせてあげたいし、仕事大変なら手伝ってあげたくなるし、掃除が苦手って言われたら、隅々まで綺麗にしてあげたくなるし」
当たり前の感情なはず。なのに、重いってなに!?
「――え?」
なんてことない駅前の人通りの多い歩道で、クルリと背を向け去っていく彼――。
チーンと頭の中でよく耳にする効果音が鳴った気がした。
「アッハハハハ! さすが尽くし過ぎる女! 重すぎるって言われて振られるなんてっ」
「もーうるさい! こっちは泣きたい気分なのに笑うな!!」
騒がしい居酒屋の店内で豪快に笑う親友に一睨みしながら、目頭が熱くなっていく。
あぁ、だめだ。つい数時間前のことを思い出すと本当に泣いてしまいそうだ。
前島柚香、二十四歳。
本日、付き合ってまだ一ヵ月しか経っていない彼氏に振られました。
しかも待ち合わせ場所に来た途端、あっさり一言「ごめん、お前重すぎる」と言われて。
ひとりになりたくなくて、目の前で大笑いしている高校時代からの親友、澤北陽菜を誘ったというのに……!
「重すぎるってなに? 好きなら尽くしたくなるものじゃない」
アルコールがほどよく回ってきて、饒舌になっていく。
「美味しい料理食べさせてあげたいし、仕事大変なら手伝ってあげたくなるし、掃除が苦手って言われたら、隅々まで綺麗にしてあげたくなるし」
当たり前の感情なはず。なのに、重いってなに!?