イジワルなカレの愛情表現
陽菜に言わせれば、「それは相手のことを本気で好きじゃなかったからだよ」って言われちゃうけど、あながち間違っていないと思う。


中学生や高校生の時のような恋愛が、大学生、そして社会人になるにつれてできなくなっている。


もちろん昨夜振られてしまった彼氏のことは好きだった。

話が合って優しくて、これからも一緒にいられたら……と思えたほど。
かといって二十四時間その人のことばかり考えてしまうほど、好きではなかったのも確か。


恋愛するたびに、感覚が麻痺していくのかな?
ただ単に優先順位が変わってきただけ?


だから毎回振られちゃうし、振られても次の日は平気な顔してこうやって出社できるのかな?



『ご乗車ありがとうございましたー』


グルグルと朝から無駄に考え事をしている間に、最寄り駅へと到着。

毎朝多くの人が下車する駅で、降りるのも一苦労だ。

人の波に流されて改札口へと向かっていく。


改札口を抜けるとやっと人の圧迫感から解放される。


毎朝のことながらホッと肩を撫で下ろし、定期をバッグにしまって会社へ向かおうとした時。


「やっぱり前島さんだ」
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