イジワルなカレの愛情表現
山口室長の言いたいことが、胸にストンと落ちてくる。


「そこは自分でも自負しています。……永瀬さんにも同じこと言われてしまったので」


ポツリと真実を告げると、山口室長は一瞬目を見開いたものの、すぐにその表情は崩れ、「そっか」と呟きながら目を細めた。


「じゃあ尚更あいつのインタビュー記事、頑張って欲しいな。大変だと思うけど、期待しているから」

「ありがとうございます」


〝期待している〟


やっぱりこの言葉が一番嬉しい。なにがあっても仕事頑張ろうと思えるよ。
例え、失恋した次の日だとしても。


自然とお互い口角が上がっていき、笑い合ってしまう。


山口室長って独特な空気を纏っているなって思う。

一緒にいると、自然とイライラも薄れていって最後にはこうやって笑顔になれちゃう。
究極の癒しだ。


そんなことを思っていると、いつの間にか会社の目の前に辿り着いていた。

そのまま出社する社員と一緒にエントランスに続く十段の階段を登っていた時。


「おはよう、山口君!」
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