イジワルなカレの愛情表現
垂れそうになる鼻水をズズッと啜ると、目の前であれほど大笑いしていた陽菜は本気で引いていた。


「いや、あんた……毎回振られるたびに言ってるけど、かなり重いからねそれ」


冗談ではなく真顔で言われてしまうも、毎度のことながら腑に落ちない。


「どうしてよ、普通じゃない」

「普通じゃないから!」


きっぱり言い切ると、耳にタコになりつつある台詞を言ってきた。


「合鍵貰った途端いっつも頼まれてもいないのに、勝手に料理作って掃除して洗濯して?彼が面白そうって言った漫画や映画を研究してプレゼンしたり、忙しくて会えない時はメールに電話攻撃。そりゃ振られるわな」


救いようがないと言いたそうに大きな溜息を漏らされてしまった瞬間、仕切りガラス一枚の隣のテーブルから「ブハッ!!」と堪え切れなく噴き出した笑い声が聞こえてきた。


え、なっなに!?


店内中に響いているんじゃないかってくらい大きな笑い声に、私も陽菜も目を合わせ、唖然とするばかり。
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