イジワルなカレの愛情表現
♯3【イケメンエース様と、甘く危険な?密会】
嵐はその日突然やってきた。

定時を三十分以上過ぎた今も、私はオフィスに残っていた。

社内広報室のメンバーは誰ひとり残っておらず、コピー用紙が出てくる音だけが響いている。


山口室長は会議が伸びているようで、まだ戻ってこない。

隠居社員の木村さんは定時と同時に退社。

目黒さんと西垣さんは、今日もまた定時間際に、明日の会議で使う資料の作成を押しつけてきた。


断る勇気を持てない私は、言われるがまま引き受けてしまい、こうして誰も残っていないオフィスで資料をひたすらコピーしていた。

全て終えたらホチキスで留める作業が残っている。


ちらりと時計を見れば、十八時前。
全て終わる頃には、十九時を回ってしまいそうだ。


「まぁ、別に予定なんてないから何時になっちゃってもいいけど」


誰もいないオフィスだと、ひとり言も虚しく響き渡ってしまう。
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