イジワルなカレの愛情表現
なのに永瀬さんは気に食わなそうに眉を顰めた。

「やだね、せっかく仕事が終わったっていうのに、どうして会社にいなくちゃいけねぇんだよ。それにインタビューに答えるならどこでも同じだろ?」


「いいえ、写真も撮りたいですし……」


「写真なら居酒屋でいいじゃん。俺さ、いっつも思っていたんだけど、社内でいかにも仕事中って感じの写真を載せるんじゃなくて、たまにはプライベート感を出した写真を載せるのもいいと思うんだけど」


怒涛の抗議に、弁解の余地さえも与えてくれない。


「みんなそういうのが見たいんじゃないの? 仕事以外の顔をさ。それに新鮮でいいじゃん。社内報見ている奴も、絶対そう思うと思う」


そうは言われても、私の独断で決めるわけにはいかない。

仕事中の姿を載せるのが決まりとなっているのに、永瀬さんに言われたからと言って、「はい、分かりました」と了承するわけにはいかない。


「でっ、ですがっ……!」

「悪いけど、今から飲みに行くのは決定事項だから」


有無を言わさぬような目でギロリと睨まれてしまい、言葉を飲み込んだ。
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