イジワルなカレの愛情表現
ずいぶんと自分勝手な言い分だ。こっちの都合を全く聞こうともしてくれないなんて。
エース様だかイケメン様だか知らないけど、なんでも許されると思うなよ!!


なんて散々心の中で悪態をついておきながら、口に出して言えそうにない。

さきほど睨まれてしまってから、なにも言えていない。


情けなくもチラチラと彼の様子を窺っていると、急に背後にあるコピー機へ視線を向けた。


「ところであれが終わらないと帰れないわけ?」

「え、あっ!」


聞いてきたくせに、私の答えを聞かずに勝手に用紙を手に取り見ている。


「ふ~ん……なるほどね。明日使う会議の資料作成を、押しつけられたってわけだ」

「こっ、これは自分の仕事ですから」


図星をつかれるも、昨日のことがある手前、素直に認めることができなくて見栄を張ってしまった。

でも永瀬さんには通用しないようで、クククッと声を押し殺して笑い出した。


「自分の……ねぇ。あんたって目黒さんって名前だったっけ?」


手にしていた用紙をひらひらさせ、ある場所を指差してきた。

促されるまま指差された場所を見ると、そこには作成者の名前が、ばっちり目黒さんになっていた。


「俺の記憶が正しければ、前島さんだった気がするんだけど」
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