イジワルなカレの愛情表現
これ以上言い逃れできなってしまう。


会った時からなんとなく感じていたけど、永瀬さんはイジワルな人だ。
分かっているくせに、わざと聞いてくるなんて。


この前から図星をつかれ続け、悔しさが滲み出てきてしまう。


「っご存知でしたら、お帰りください! 私にはまだ押し付けられた仕事が残っておりますので!!」


言葉に棘を生やし、印刷が終わった大量の資料と、永瀬さんが手にしていた用紙一枚を乱暴に奪い取り、自分のデスクへと急いだ。


どーせ私は尽くす女ですよ。このままじゃだめだと分かっていながら、小心者でなにも言えない臆病者です!!


引き出しからホチキスを取り出し、サクサク留めていこうと資料を手にすると、横から伸びてきた手に奪われていく。


「もうひとつホチキス出せ」


椅子を引く音と同時に聞こえてきた声に、耳を疑ってしまう。

隣を見れば、私から奪った資料の束を綺麗にまとめ、早くホチキスを渡すよう目で促してくる。


「どうして……?」


彼の言動が信じられなくて、瞬きすることも忘れ凝視してしまう。

そんな私の視線に気づいたのか、資料を手にしたまま永瀬さんは私を見据えた。
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