イジワルなカレの愛情表現
「どうしてって、こんなのひとりでやるより、ふたりでやった方が早いだろ?」

「それはそうですけど……」


私が聞きたいのは、どうして手伝ってくれるのってこと。

どうせ〝バカじゃないの?〟って思っているんでしょ? 言われるがまま引き受けて尽くしまくって。

それなのになぜ?


「それにさっきも言っただろ? 飲みに行くぞって。お前と飲みに行きたいから手伝う。これじゃ理由にならないか?」

そう言って首を傾げ、少しだけ目を細めた優しい顔に息を呑む。


何か言わないと。
頭の中では分かっているのに、なかなか言葉として出てきてくれない。


それはきっと苦しいほど胸を締め付けられているせいだ。


イケメンはズルイと思う。
整った顔で微笑まれてしまっては、嫌でもときめかされてしまうのだから。


さらに追い打ちをかけるように、甘い顔をして「ん?」なんて問いかけてくる。


「っ分かりました! 分かりましたので、よろしくお願いします!!」


これ以上見つめられていたら、ドキドキし過ぎて呼吸困難に陥ってしまいそうだ。

半ばやけくそ気味に言い、自分が持っていたホチキスを強引に渡した。
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