イジワルなカレの愛情表現
だけどちょっと待って。……このイラッとくる笑い声には、嫌な心当たりがあるんですけど。


ある人物の顔が頭に浮かんだ時、第三者の宥める声が聞こえてきた。


「おい、永瀬やめろって」

「これが笑わずにいられるかっ」


嫌な予感がますます信憑性を増していく中、声の主が仕切りガラスから顔を覗かせた。


「やっぱりお前だった」


口の端を上げて意地悪に笑う男に、顔が引きつってしまう。

そんな私とは違い、目の前に座っている陽菜の顔は真っ赤に染まっていくばかり。


「仕事だけじゃなく、男にまで尽くすタイプだったとはね。まさに筋金入りだ」

「ほっ、ほっといてください!」


人をバカにしたように笑うこの男。

ほんの数日前に知り合いました。大変最悪な形で。……いや、そう思っているのは私だけかもしれないけど。


「でも俺、尽くす女は嫌いじゃないよ」


「なっ……!」


サッと顔が青ざめていく。
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