イジワルなカレの愛情表現
お互い口にしている〝アレ〟
それは作り終えた資料の束を、目黒さんのデスクに置きに行ったときのことだった。
* * *
「これも一緒に」
「――え?」
そっと資料の束の上に置かれた一枚のメモ。
「少しはこれで懲りるだろ」
そう言いながらニヤリと笑う彼の姿に、嫌な予感がよぎる。
恐る恐る永瀬さんが置いたメモを見ると、そこにはこう書かれていた。
〝仕事を押しつけてくれてありがとう。おかげで前島さんと有意義な時間を過ごせたよ。〟と。
もちろん最後にはフルネームで〝永瀬 優〟と書かれている。
「ちょっ、ちょっとこれはマズイですよ!」
ギョッとしてしまい、慌ててメモを手に取ろうとした瞬間、横から伸びてきた長い腕がそれを制止する。
「まずくねぇよ。これくらいやってやれ。お前も少しは気が晴れるだろ?」
「なっ……! 晴れるわけないじゃないですか!!」
掴まれている腕を振り払おうとするも、永瀬さんに思いの外がっちり掴まれてしまっていて、それは叶わなかった。
それは作り終えた資料の束を、目黒さんのデスクに置きに行ったときのことだった。
* * *
「これも一緒に」
「――え?」
そっと資料の束の上に置かれた一枚のメモ。
「少しはこれで懲りるだろ」
そう言いながらニヤリと笑う彼の姿に、嫌な予感がよぎる。
恐る恐る永瀬さんが置いたメモを見ると、そこにはこう書かれていた。
〝仕事を押しつけてくれてありがとう。おかげで前島さんと有意義な時間を過ごせたよ。〟と。
もちろん最後にはフルネームで〝永瀬 優〟と書かれている。
「ちょっ、ちょっとこれはマズイですよ!」
ギョッとしてしまい、慌ててメモを手に取ろうとした瞬間、横から伸びてきた長い腕がそれを制止する。
「まずくねぇよ。これくらいやってやれ。お前も少しは気が晴れるだろ?」
「なっ……! 晴れるわけないじゃないですか!!」
掴まれている腕を振り払おうとするも、永瀬さんに思いの外がっちり掴まれてしまっていて、それは叶わなかった。