イジワルなカレの愛情表現
掴まれていない反対の手でメモを取ろうとするも、メモを奪われてしまう。


「おっと、忘れてた」


そう言うと腕を離し、なにやら書き足し始めた永瀬さん。


「なに書いているんですか?」


覗き見ようとしても、永瀬さんの広い背中で隠されてしまう。


「お前は見なくていいんだよ」


書き終えたのか、メモを資料の上に置いたものの、その内容を一向に見せようとしてくれない。


「よし、行くぞ」

再び私の腕を掴むと、足早に歩き出した。


「ちょっと待って下さい!」

「却下」


歩くスピードが速くて足がもつれそうになりながら、必死についていく。

私のデスクの上に置いてあったバッグを素早く手にし、オフィスを後にした。


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