イジワルなカレの愛情表現
「永瀬さん気付いていないいんですか? 自分がどれくらい社内でモテているのか」


皮肉交じりに言ったものの、当の本人には全く効力を発揮していないようで、ポリポリと音を立て漬物を食べ終えた後、満面の笑みで答えた。


「知っているに決まってるだろ? 社内を歩くだけで視線感じるし。まぁ、仕方ないだろ。顔もよくて仕事もデキるとくれば、モテないわけがない」


すがすがしく言い切った彼に、思いっきり顔が引きつってしまう。


さすがだ。しっかり自分の置かれている状況を把握しているし、それを謙遜することなく堂々と言い切ってしまうのだから。

普通は例え自負していたとしても、「そんなことない」と謙虚に出るものじゃない?
それなのに、「モテないわけがない」ときたものだ。

空いた口も塞がりそうにない。


しばし唖然としてしまっていると、いつの間に追加注文をしたのか、店員がビールを運んできた。
すると永瀬さんはジョッキを手にし、前に出してきた。


「とりあえず乾杯しようぜ。せっかく初めてふたりで呑みにきたんだから」

呑みにきたというより、無理やり連れてこられたって言った方が正しいけど。
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