イジワルなカレの愛情表現
最悪だ。振られた話を全て聞かれていたとか。

しかもなに? 尽くす女は嫌いじゃないとか! 完全にバカにしていますよね!?


言葉を返すことさえできずにいる中、永瀬さんは愉快そうに口角を上げ立ち上がった。


「山口、帰るぞ」

永瀬さんが去った後、顔を覗かせたもうひとりの男性は、「ごめんね、また明日」と謝罪し後を追い掛けていった。


「ちょっとちょっと! なによ、あのイケメンズは!!」


すっかり見惚れていた陽菜が我に返り、すかさず問い詰めてきた。


「会社の……先輩?」

「なにその曖昧な感じは。知り合いじゃないの?」

「知り合いというか……」


なんて説明すればいいのだろうか。


私が勤めている先は口にすれば誰もが知っている某大手菓子メーカー。

全国に製造工場や営業所がある中、私は狭き門をくぐり抜けて、入社当時から本社で勤務している。

私の配属先は広報部、社内広報室。
全国各所にある営業所や工場に向けて、月に一度発刊している社内報を制作している部署だ。
< 5 / 145 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop