イジワルなカレの愛情表現
なにこの状況。いい加減にしてほしい。人のことをからかうのは。

動揺している私を見て、永瀬さんはなにやら楽しんでいる様子。


「冗談ねぇ……。まぁ、どう感じ取ってくれてもいいよ」

「じゃあ冗談と取ります!」


慌てて体制を戻し、手帳を開く。

このまま永瀬さんのペースだったら、この先身が持たない。
もうさっさとインタビューを終わりにして帰ろう。


「ちゃんと答えたんですから、永瀬さんも答えて下さい! うちの会社に入社した動機を」


今度はこっちは聞く体勢に入ると、愉快そうに頬を緩ませながらも、やっと話し出してくれた。


「分かったよ、ちゃんと話す」

「早急にお願いします!」


間入れず言うと、ますます永瀬さんは唇の端を上げた。


「理由はお前と同じだよ」


「同じって……もう冗談はやめてください」


こっちは真面目に聞いているというのに、どこまでふざけるつもりなの?


さすがに怒りを露わにしてしまうも、永瀬さんは「本当だよ」と言ってきた。
< 56 / 145 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop