イジワルなカレの愛情表現
社内広報室には私を含め五人が所属していて、さっき私に去り際謝ってきたのが広報室のリーダーである、山口 政孝(やまぐち まさたか)室長。栗色のサラサラ髪で眼鏡をかけている優しい上司。


もちろん優しいだけじゃない。時には厳しく、的確な指示を出してくれる信頼できる上司だ。


そんな上司の同期であり、私が入社して一年が過ぎた今年の四月、人事異動で千葉の製造工場から本社勤務、しかも企画開発課へ大出世を果たしたのが
先ほどの失礼な男、永瀬 優(ながせ ゆう)。私より四歳年上の二十八歳。


長身でモデル並みのスタイルと、甘いフェイスの持ち主。しかも異動してまだ半年しか過ぎていないというのに、既に新商品の開発に着手しているらしい。


「へぇ~、イケメンエリートってわけだ」


「そうだね。……最初は私もすごい人だなって思っていたの。製造工場から開発部に異動なんて、なかなかない話らしいし」


そうなのだ、永瀬さんは大出世を果たした人。

社内でも一目置かれている存在だった。
< 6 / 145 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop