イジワルなカレの愛情表現
あの永瀬さんならあり得る話だ。

なんだ、胃が痛くなるほど心配することなかったのかもしれない。

どう見ても目黒さん、怒っているようには見えないし大丈夫なんだよね？


ホッと胸を撫で下ろし、少しだけ不安が残る中、ゆっくりとオフィスのドアを開けた。


「おはよう、ございます」


なるべくいつも通り挨拶をしながら足早に自分のデスクへと向かう。


貴重品だけバッグから取り出し、引き出しにしまおうとした時。


「おはよう、前島さん」


弾む声に顔を上げると、いつの間にか私のデスクの前には目黒さんと前島さんの姿があった。


「おっ、おはようございます」


ふたりがわざわざ私のデスクまできて、気持ち悪いくらい笑顔で挨拶してくれるなんてこと、滅多に……いや、初めてかもしれない。

そうなると当然動揺してしまい、声が裏返ってしまう。


えっ、なっ、なに!?

やっぱり永瀬さんメモをしっかり残してきて、そこに怒りを通り越してしまうほどの内容が書かれていたから、ふたりともこんなに不気味なほど笑顔なの!?
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