イジワルなカレの愛情表現
恐ろしい考えが頭をよぎったものの、どうやら違ったようでふたりは笑顔で顔を見合わせた後、上機嫌で語り掛けてきた。


「昨日はごめんなさい、資料作りお願いしちゃって。抱えている仕事も落ち着いたし、今後は自分でやるから大丈夫よ」


えっ!? どうしちゃったわけ、目黒さんってば。


けれど様子がおかしいのは目黒さんだけではなく、西垣さんもだった。


「今まで仕事お願いしちゃっていてごめんなさい。前島さんの負担になっていたわよね」


どっ、どうしよう……! ふたりがあまりに普段と違い過ぎて、声が出ない。


ふと自分のデスクに腰掛けていた木村さんを見ると、彼も私と同じ気持ちなのか、ポカンと口を空け固まってしまっている。


「手伝えることがあったら私達協力するから、いつでも声掛けてね」

「そうそう、分からないこととかあったら、遠慮なく聞いて。なんていったって私達、先輩なんだから」


「……はっ、はい……」


耳を疑う言葉に、恐怖心すら抱いてしまう。

なに? もしかして新手の嫌がらせなのかな?

すっかり油断させておいて、後でとんでもない仕打ちが待っているとか?
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