イジワルなカレの愛情表現
例えひと時の幸せだとしても、自分の仕事にだけ専念できて、ふたりが優しく接してくれるのなら、理由はどうであれいいや。


それに一日仕事が終わる頃には、昨夜のことで噂が社内中に広まっているかもしれないし。

せめて通常の仕事は平和にこなしたいもの。


パソコンの電源を入れ起動させた頃、山口室長も出勤してきて、程なくして就業開始のチャイムが鳴り響くと通常の業務が始まった。



「終わった……」


無事に仕事も終わり時間を確認すると、定時の十分前だった。

いつもだったら、ここでふたりが仕事を押しつけてくるところだけど、今のところそういった気配は感じられない。

これはもしかすると、久し振りに定時で上がれちゃうかもしれない。


今日はずっとオフィスに引きこもっていた。

オフィスを出たのはトイレくらい。昼食は朝コンビニで買ってきたもので済ませた。

だから社内中に昨夜のことが広まっているか定かではないけど……間違いなく広まっているよね。


なんて言っても永瀬さんは有名人だし。

そんな有名人に腕を引かれて歩いているところを見られたんだもの。
噂にならないわけがない。
< 67 / 145 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop