イジワルなカレの愛情表現
その後もふたりが色々と言っていたけれど、全く耳に入ってこず、定時のチャイムが鳴ったと同時に木村さん同様、挨拶をし足早にオフィスを後にした。



ちゃんと聞きたい、永瀬さんの口から。

どうして付き合ってもいないのに、付き合っているなんて同僚に話したのかを。

確かに永瀬さんは昨夜、私を守ってくれると言った。
それが付き合っているってことにするってことなの? 


定時を過ぎたばかりと言っても、廊下は退社していく社員が沢山いる。

そしてすれ違うたびに、「ほら、あの人でしょ?」とか「永瀬さんの彼女だよね」と言った声が聞こえてくる。


どうやら目黒さんと西垣さんが言っていたことは、間違いなさそうだ。

たった一日で私と永瀬さんが付き合っているという噂が、広まっているみたい。


聞こえてくるヒソヒソ話に、顔を上げられない。

とにかく早く永瀬さんに真相を確かめよう。


必死に開発部へと向かっていると、前方から陽気な声が聞こえてきた。


「よう、ちょうどよかった。今、広報部に行こうと思っていたんだ」

「永瀬さんっ」


探していた人が目の前に現れ、足は止まってしまう。
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