イジワルなカレの愛情表現
すると永瀬さんは足早に歩み寄ってきた。

そして私の目の前で立ち止まると、顔を覗き込んできた。


「昨日ぶり」

「……っ!」


整った顔が突然視界に飛び込んできた瞬間、ハッと我に返る。


目の前では永瀬さんが私を見下ろしていて、周囲からは冷やかしの声が聞こえてきた。


退社時刻とあって、人がどんどん集まってきているというのに、永瀬さんは全く気にしていない様子。


「なぁ、もう仕事終わったんだろ? だったら今日も付き合えよ。そこで昨日の続き、してやるよ」

「なっ……!」


意味深な発言に、周囲にいた女性社員からは悲鳴にも似た声が飛び交う。


「誤解を招くようなこと、言わないでください!」


すかさず突っ込むも、永瀬さんは愉快そうにニヤニヤするばかり。


「誤解ってなに? 真実だろ? 昨日の続きをするっていうのは」


だめだ。このままじゃ完全に永瀬さんのペースにハマってしまう。

第一話を聞きたくても、こんな人が沢山いる場所で聞けるはずない。
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