イジワルなカレの愛情表現
胸が高鳴って仕方ない。でも、なにか。なにか言わないと――。
「そんな……の、信じられません。そもそも私達、こうやって話すようになったの、つい最近じゃないですか」
必死に自分を奮い立たせ出た声は、情けないほど震えてしまう。
私と永瀬さんの間にある距離は、たった五十センチ弱。腕を伸ばせば簡単に触れてしまえる。
シンと静まり帰る資料室内、速く脈打つ心臓の音。そして、大きく揺らされている心。
その全てがこの距離では永瀬さんにバレてしまっていそうで、次第に彼の顔が見られなくなっていく。
完全に視線が資料室の床を捉えた瞬間、そっと握られた右手に胸が鳴る。
「なに? それじゃお前は知り合って、お互いのことを知り尽くしてからじゃないと、相手のことを好きになれないのか?」
少しだけ擦れた声が妙に色っぽくて、心臓は暴れるばかりで顔を上げられない。
どうしてこんな状況になっちゃっているんだろう。なんで永瀬さんは私の手を握っているの?
やっぱりからかわれている? 動揺しちゃっている私を見て心の中で笑っているの?
彼の真意が知りたくて、ゆっくりと顔を上げていく。
するといつになく真剣な瞳で私を見据える永瀬さんと、目がかち合う。
「そんな……の、信じられません。そもそも私達、こうやって話すようになったの、つい最近じゃないですか」
必死に自分を奮い立たせ出た声は、情けないほど震えてしまう。
私と永瀬さんの間にある距離は、たった五十センチ弱。腕を伸ばせば簡単に触れてしまえる。
シンと静まり帰る資料室内、速く脈打つ心臓の音。そして、大きく揺らされている心。
その全てがこの距離では永瀬さんにバレてしまっていそうで、次第に彼の顔が見られなくなっていく。
完全に視線が資料室の床を捉えた瞬間、そっと握られた右手に胸が鳴る。
「なに? それじゃお前は知り合って、お互いのことを知り尽くしてからじゃないと、相手のことを好きになれないのか?」
少しだけ擦れた声が妙に色っぽくて、心臓は暴れるばかりで顔を上げられない。
どうしてこんな状況になっちゃっているんだろう。なんで永瀬さんは私の手を握っているの?
やっぱりからかわれている? 動揺しちゃっている私を見て心の中で笑っているの?
彼の真意が知りたくて、ゆっくりと顔を上げていく。
するといつになく真剣な瞳で私を見据える永瀬さんと、目がかち合う。