イジワルなカレの愛情表現
「じゃあ、自分で確かめてみろよ」

「――え」


手を握る反対の腕が背中に回されると身体が密着され、微かに感じたアクアマリンの香りを強く感じてしまう。


「嫌だったら、拒否すればいい」

「な、に言って……っ」


冗談にしてはやりすぎ。

もういいでしょ? こんなに動揺させられ、ドキドキさせられているのが、永瀬さんにも伝わっているでしょ?


そう言いたいのに声が出てきてくれない。

手を握っていた手は離されて頬に触れ、ゆっくりと永瀬さんの顔が近づいてくる。


冗談じゃない、の? ――本気なの?


すぐにさっきの永瀬さんの言葉が頭をよぎる。


〝嫌だったら、拒否すればいい〟


拒否するべき。こんなのおかしいじゃない。

永瀬さんのこと、好きじゃないでしょ? 永瀬さんの気持ちだって分からないし、なにより付き合ってもいないのにキスするなんて、絶対にだめ。
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