イジワルなカレの愛情表現
それなのに、ドキドキし過ぎて苦しくて、次第に近づいてくる距離にまるで金縛りにあっているように、微動だにできない。


もうワケが分からない。自分の気持ちも、どうして受け入れようとしちゃっているのかも。


そして鼻と鼻が触れてしまいそうな距離まで近づいた時、永瀬さんは囁いた。


「尽くすのが好きなんだろ?」

「……え?」


切れ長の瞳が視界いっぱいに広がっていて、瞬きさえもできない。



「じゃあ俺に尽くせよ」


「何言って……っンっ」


荒々しく奪われていく唇。


腰に回された腕に力が入った瞬間、瞼を閉じる間もなく唇を塞がれてしまう。



薄暗く埃っぽい資料室で鼓膜を刺激しているのは、お互いの甘く漏れる吐息だけ。

顎に添えらていた長い指が、強引に口内に侵入してきた。


「もっと口開けろ」

「そんなっ……」


至近距離で囁かれた声にゾクリと身体が震えてしまう。

抵抗してもビクともしなくて、いとも簡単に唇を奪われていく。

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