イジワルなカレの愛情表現
西垣さんは二十五歳、目黒さんは二十六歳とそれぞれひとつ違い。

背格好や性格もなんとなく似ているふたり。だったら仲良くなるものだけど、このふたりの場合は違う。
似ているからこそ、なにかと衝突する機会が多いのだ。


そうなると仲裁に入るのはいつも山口室長であり、私ともうひとりの広報室メンバーであるベテラン隠居社員、木村さん御年五十八歳は傍観者に徹する。


「ちょっと西垣さん、普通こういうことは先輩に譲るものじゃないかしら?」

「先輩なら後輩に華を持たせるべきじゃないんですか?」


バチバチと今にも見えそうな火花を散らす中、毎度のことながらさすがの山口室長も頭を抱えてしまったその時。


「悪いけど、ふたりともお断りさせていただいてもいいかな?」

「――え?」


仲良く声がハモったと思ったら、またふたり仲良く赤面していく。

けれどそれもそのはず、突如広報室に現れたのは永瀬さんだったのだから。


これにはさすがに私と木村さんも唖然とするばかり。


「珍しい、どうしたんだ? 永瀬がここに来るなんて」


そんな中で唯一動じなかったのは、彼と同期で仲が良いらしい山口室長だった。
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