イジワルなカレの愛情表現
「俺とキスするの、嫌がっているようには感じなかったけど」


「……っそれはっ……」


火照っている顔が、さらに熱くなっていく。


「普通、嫌いな男とキスなんて、できねぇよな?」


間入れず問いかけてくる彼の瞳は、自信に満ち溢れている。


この人はイジワルで、そしてズルイ人だ。


分かり切っているくせに、わざと聞いてくるのだから。


認めたくないけど、嫌じゃなかった。

それはつまり私、永瀬さんのことを好きってことなの?


そんなまさか。

話すようになったばかりで、彼のことで知っていることと言ったら、名前と仕事がデキること。……そして私のことを理解してくれている人。


あぁ、そっか。

だからキスを受け入れてしまったのかもしれない。


私のだめなところをいきなり指摘してくれて、尽くすところを長所だと言ってくれた人だから。


ストンと落ちて妙に納得できてしまう。
< 81 / 145 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop