イジワルなカレの愛情表現
もしかしたら私は、永瀬さんに惹かれ始めているのかもしれない、と――。


その間も永瀬さんの腕は私の背中に回っていて、反対の手は唇を撫で続けている。


「お前の唇、いいな。何度もキスしたくなる」


恥ずかしい声に目を見開いた瞬間、再び重なり合う唇。


拒否することなんてできなかった。



私は絶対に好きじゃない人、付き合ってもいない人とキスやその先なんて、できないと思っていたのにな。


永瀬さんに対する自分の気持ちも、永瀬さんが私に対する気持ちも不透明なのに、何度も唇を重ねてしまっているなんて……。


少しだけ埃っぽく薄暗い資料室で、いつの間にか彼とのキスに夢中になってしまっている自分がいた。
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