イジワルなカレの愛情表現
あの日から永瀬さんは、仕事が早く終わった日は誘ってくるようになった。


それは二~三日のペースで、永瀬さんオススメの店へ向かい、食事を共にして社内報に載せる質問のひとつに答えてくれるのだ。


「しかも資料室で濃厚なキスをしたっていうのに、それっきりなにもしていないと?」

「……はい」


そうなのだ。永瀬さんとはあの日以降、食事に行って質問に答えてくれて、最寄り駅まで送ってもらう関係でしかない。


「あっ、でも駅まではたまに手を繋いだり……」

「中学生か!!」


ごもっともな突っ込みに、苦笑いしてしまう。


とうとう頭を抱え込んでしまった陽菜。


「それにしても、あの彼……謎ね。柚香から話を聞いただけでも、彼がなにを考えているのか、全く読めないわ」


「だよね!? やっぱり陽菜もそう思うよね!」


思わず身を乗り出して何度も頷いてしまう。

これにはさすがの陽菜も面食らったように、身体を後ろに反らした。
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