イジワルなカレの愛情表現
「そうだな……やっぱなんて言っても、自分が考案した商品が世に出された瞬間、かな。それとなにより、同僚と試作を繰り返し苦労した分、努力が報われた瞬間がなにより遣り甲斐を感じるときだ」


そう話す永瀬さんの表情は生き生きしていて、仕事に対し真義に取り組んでいるのが伝わってくる。


「もちろん同僚はライバルでもあるけどな。協力する時はお互い惜しまない切磋琢磨できる環境もまた、遣り甲斐を感じられるところかも」


声を弾ませ白い歯を覗かせた瞬間、胸がキュンと鳴ってしまった。


「そっ、そうですか」


ヤバイ、胸がギューって締めつけられる。


無邪気な笑顔で仕事に対する想いを語る姿は、誰が見たって魅力的。


こんなのドキドキしないわけがないじゃない。


この日は帰宅してからも、ずっと胸の高鳴りは収まることはなかった。




それにこんなこともあった。


「ありがとうございました、またお願いします」


会計を済ませ店の外に出ると同時に、今日こそはと永瀬さんに詰め寄った時のことだ。


「永瀬さん、今日こそちゃんと出させてください!」
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