イジワルなカレの愛情表現
「おもしろくない」と言いながら、陽菜は顔をしかめるばかり。


「うそ、私……幸せそうな顔しちゃってた?」


信じられなくて尋ねてしまうと、陽菜はぶっきらぼうに答えた。


「しちゃってたわよ。……いいんじゃないの? 大人になって、そこまで好きになれる相手に出会えることって、なかなかないと思うし」

「う……ん」


陽菜の言う通りだ。大人になればなるほど、昔のような本気の恋愛がなかなかできずにいたから。


いつぶりだろうか。
胸が苦しくなるほど異性に惹かれてしまったのは。

知れば知るほど好きって気持ちが積み重なってしまう特別な感情は。


「なによ、間の悪い返事しちゃって。他にも悩みがあるわけ? だったら聞くけど」


「時間合わせるの大変なんだから、全部吐け」の言葉に甘えさせてもらい、今感じている不安を口にした。



「私は永瀬さんのこと、好き――だと思うの」

「でしょうね」


間入れず陽菜は突っ込んできた。


「でも……さ、永瀬さんはどうなのかなって思って」
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