イジワルなカレの愛情表現
ずっとマイナスなことばかり考えてしまっていた私を、陽菜は簡単に浮上させてくれる。


「ね?」と可愛く首を傾げる姿に、自然と口元が緩んでしまう。


「うん、ありがとう。やっぱり陽菜に会うと違うな。元気が出る」


「それはよかった」

見つめ合い笑い合ってしまう中、陽菜のスマホが鳴り出した。


「げ、主任からだ。ちょっとごめん」

「うん、いってらっしゃい」


電話の相手を確認すると、陽菜は明らかに嫌そうな顔をしながらも、渋々立ち上がり電話に出るため店を出て行った。


上司からみたいだし、電話長くなるかな?

飲み物追加しようかな。

ずっとしゃべっていたせいか、異様に喉が渇いていた。


メニュー表に手を伸ばし、どれを頼もうか吟味していると、板一枚を隔てた反対側の席に客を案内する店員さんの、威勢の良い声が聞こえてきた。


「二名様ご案内いたします、いらっしゃいませー!」

「いっらしゃいませー」


店内にいる店員さんが次々と声を上げていく。
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