焦れきゅんプロポーズ~エリート同期との社内同棲事情~
「そうだっけ?」

「そうだよっ! 酷い。無自覚とか……」


思わずムクれて抗議すると、勇希は肩を竦めて『ごめん』と謝った。


「まあ俺も……なんとなくそんな雰囲気じゃないなあって、我慢してたのもあるんだけど……」


そう続けて小さく吹き出して笑う。
そんな勇希に瞬きすると……。


「……もしかして、シたかった?」


ニヤッと意地悪な笑みを浮かべて、勇希がそんなことを訊ねてくる。


「なっ……!」


思わずギョッとして、反射的に身体を起こした。


「な、何言ってんの、勇希!」


何それ。何それ。
そんな言い方されたら、私が欲求不満だったみたいじゃない。
違いないかも知れないけど、私の方が。私だけが。


「ふ~ん。そっか。そうだったか。ああ、だから『二ヵ月何もなかったし』なのか」

「っ……!」


ニヤリと笑って、勇希が私を探るように覗き込む。
あまりのことに、私は不覚にも絶句してしまった。


「ゆ、勇希のバカっ……」


恥ずかしい。
消えてしまいたいくらい恥ずかしい。
思わず涙目になる私に、勇希は表情を和らげて微笑んだ。


「まあまあ。……そっか。それなら俺が緊張するのも当然ってことだ」


そう言いながら、ゆっくり私の肩を抱き寄せる。
素肌に勇希の体温を感じて、それだけで鼓動が更に速まった。
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