焦れきゅんプロポーズ~エリート同期との社内同棲事情~
「……大事に愛するの、久しぶりなんだから」


とても優しい瞳でそう言った勇希の唇が降って来る。


「んっ……」


額に。瞼に。頬に。唇に。
勇希が軽く触れる唇が温もりを落とす場所が、少しずつ温かくなっていく感覚。
首筋に、鎖骨に掠めるようなキスがくすぐったくて、思わず身を捩る。


「ダメ。逃げないで。こんなんじゃ足りない。……もっと」


私の胸元から上目遣いでそう呟いて、勇希はゆっくりと私をベッドに沈めた。
そして、そのまま覆い被さって来る。


「智美……」


吐息交じりに私を呼ぶ声が、色っぽくてゾクゾクする。


「……勇希。勇希……っ」


彼を求める心が止まらない。
このまま制御不能になって暴走してしまいそうだ。


「……もっと……もっと……」


勇希と同じ言葉で、勇希を強く欲しがった。
勇希は私に応えるように、甘く熱っぽく、今までにないくらい丁寧に、私の身体を愛撫してくれる。


その夜、私は、優しく、激しく、勇希に愛された。
肌と肌の境界線がわからなくなるくらい溶け合って、夏一番の熱い夜を過ごした。
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