焦れきゅんプロポーズ~エリート同期との社内同棲事情~
「でも!」
私はここぞとばかりに反論する。
覚えてない……と言うか、確かこの辺という記憶はあった。
けれど、ちゃんと意識していられなかったのは、ここ数年、私と勇希の間で何の『イベント』もなかったせいだ。
それを告げると、今度は勇希の方がそおっと私から目を逸らす。
ほら、やっぱり。
覚えていたならなんで何もして来なかったのか。
私がそんな不満を持っても、間違いじゃない。
「……だから。来年からは、毎年ちゃんとお祝いしよう」
話題を変えるかのように、勇希がちょっと不貞腐れながら、ほうれん草と鮭のキッシュを手に取った。
「あ!!」
それを見て、私は思わず身を乗り出す。
ん?と首を傾げる勇希に、私は頬を膨らませた。
「それ、私も食べたかったの!」
「は?」
「勇希だけ、ズルい!」
本気でむくれる私に、勇希は何度か瞬きした後、なんとも微妙な苦笑を漏らした。
「だったら最初からキープしとけよ」
そう言いながら、自分の取り皿の上で小さく切ったキッシュをフォークで刺して、
「ほら」
私の口元に差し出してくる。
そんな行動に、一瞬本気で目を見開いた。
「えっ!?」
「『え』じゃなくて。あ~んして」
更に口先に突きつけられて、私はただ勇希を見つめる。
私はここぞとばかりに反論する。
覚えてない……と言うか、確かこの辺という記憶はあった。
けれど、ちゃんと意識していられなかったのは、ここ数年、私と勇希の間で何の『イベント』もなかったせいだ。
それを告げると、今度は勇希の方がそおっと私から目を逸らす。
ほら、やっぱり。
覚えていたならなんで何もして来なかったのか。
私がそんな不満を持っても、間違いじゃない。
「……だから。来年からは、毎年ちゃんとお祝いしよう」
話題を変えるかのように、勇希がちょっと不貞腐れながら、ほうれん草と鮭のキッシュを手に取った。
「あ!!」
それを見て、私は思わず身を乗り出す。
ん?と首を傾げる勇希に、私は頬を膨らませた。
「それ、私も食べたかったの!」
「は?」
「勇希だけ、ズルい!」
本気でむくれる私に、勇希は何度か瞬きした後、なんとも微妙な苦笑を漏らした。
「だったら最初からキープしとけよ」
そう言いながら、自分の取り皿の上で小さく切ったキッシュをフォークで刺して、
「ほら」
私の口元に差し出してくる。
そんな行動に、一瞬本気で目を見開いた。
「えっ!?」
「『え』じゃなくて。あ~んして」
更に口先に突きつけられて、私はただ勇希を見つめる。