焦れきゅんプロポーズ~エリート同期との社内同棲事情~
意識が覚醒するより先に、鈍くズンズンと突き上げるような痛みと不快感を感じる。


「う~……あ……」


更に、どう考えても自分のものらしい唸り声が追い打ちをかける。
モゾッと身体を捩らせると、瞼の向こう側がやけに明るく眩しい。
思わず顔をしかめる。
額に腕を翳して光を避けながら、俺はようやく目を開けた。


「ん……あれ……?」


ズキズキと痛む頭が重い。
額に手を当てて支えながら、ゆっくりと身体を起こす。
ガシガシと頭を掻きながら、ぼんやりと辺りを見回した。


窓から明るい陽が射し込んでくる。
窓にかかるブラウンのカーテンとレースカーテン。
そして今俺が横たわっていたダブルベッド。
どう見ても俺と智美の寝室だ。


「……俺……?」


おかしい。
昨夜は千川を無理矢理付き合わせて飲みに行って、散々飲んでウダウダとくだを巻いた記憶が最後だ。
どうやって帰って来たんだ。
千川はどこに行った?


そんな疑問を冷静に自分にぶつけながら、俺の右手は無意識にベッドの右半分に伸びていく。
こっち側は智美のスペースだ。
智美が出て行っていなくても、俺は左半分に寄って寝る癖がついている。
そして、右半分のシーツがとても冷たいのを肌で確認して、額を押さえたままで肩を落として溜め息をついた。


――だよな。
智美は二日前に出て行ったままだ。
< 27 / 114 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop