焦れきゅんプロポーズ~エリート同期との社内同棲事情~
とにかく、昨夜千川に言った通り、島田さんのとこに智美を迎えに行かないと。
会話の断片を思い出しながら、俺はベッドから足を下ろした。


どうやって帰って来たか思い出せないのがちょっと気になるけど、そんなの月曜にでも千川を捕まえて聞き出せばいい。
着ているシャツもパンツも、恐ろしく皺になっているけど、昨日会社に来て行ったスーツの服装だ。
身体のどこにも怪我はない。
二日酔いで頭痛が激しくだるさはあるけど、とりあえず何も異変はない。


ハアッと大きな息を吐き出してから、まず顔を洗おうと床に降り立った。
皺くちゃで汗を吸ったシャツが気持ち悪くて、ドアに向かいながら脱ぎ捨てる。
上半身裸になって大きく欠伸をしながら、顔を洗うよりもシャワーを浴びようと決めた。


寝室のドアを開けてリビングに足を踏み出そうとして、俺はギョッとして息をのんだ。
剥き出しの堅いフローリングの床に丸くなって眠っているのは紛れもなく人間の女。
一瞬ギクッとしたけれど、次の瞬間には、それが智美だと判別出来る。


「お、おいっ! 智美っ!?」


なんでこんなところで。
わけがわからない焦りを感じながら大股で近寄って、その身体を抱き起す。
俺の腕の中で、智美はわずかに眉を寄せた。
唇から、「ん」と短い唸り声が漏れる。


「智美。起きろって」


軽くパチパチと頬を叩くと、眉間の皺を深めながら智美がゆっくり目を開けた。
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