焦れきゅんプロポーズ~エリート同期との社内同棲事情~
ボックスをデスクの左端に置いてから、ちょっと乱暴に椅子にドスンと腰を下ろした。
隣の席の後輩が、心配そうにこっちを窺い見ているのを感じる。


「潮崎さん、どうかしました?」


そおっと訊ねてくる後輩に、小さく首を振って見せる。


「ごめんね。なんでもない」


そう返事をすると、後輩は私がデスクに積んだボックスを見遣った。
貯まった仕事にうんざりしていると思われてしまったのかもしれない。


「あの……私、今のが終われば少し手伝えますよ?」


そんな優しい言葉を向けてくれる。
ああ、自分が情けない。
後輩に心配されてしまうなんて。


「ううん。ほんと、ごめんね。大丈夫だから」


そう言って笑って返事をしながらも、やっぱり私の怒りは勇希に向く。
つい唇を指で触れながら、自分の仕草にドキッとして、仕事に没頭するフリをしようとした。


金曜日の分も今日は仕事を進めなきゃいけないのに、今日は今日ではかどりそうにない。
気合を入れるつもりで、七分袖のカットソーを更に腕捲りした。
その時。


「あ。海営の葛西さん」


出入口の方に顔を向けていた後輩が呟くのが聞こえた。
ドキッとしながら振り返ると、後輩の言う通り、勇希がこっちに歩いて来るのが見えた。
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