焦れきゅんプロポーズ~エリート同期との社内同棲事情~
「……智美」


返って来ない反応を促すように呼びかけると。


「ワンセグで観れるからいい」


なんともつれない返事が戻って来る。
智美のこの徹底的な『他人行儀な態度』に、どうしようもなく焦れて笑いたくなってくる。


「何もそこまで、徹底して避けなくてもいいだろうが。テレビくらい、一緒に観よう」


そう言いながら、促す気持ちでドアをコンとノックした。
それでも智美の声は聞こえない。


「……智美。開けるぞ」


ドアに額をついて、溜め息をつきながらそう言った。
智美の返事を待たずに、そのまま勢いよくドアを開ける。


ベッドの右端に横になって携帯を弄っていた智美が、ハッとしたように身体を起こす。
そして、寝室に踏み込んだ俺の姿に大きく目を見開くと……。


「変態!!」


そう叫ぶと同時に、俺の枕を思いっきり投げ付けてきた。
距離があるのが幸いして、俺は攻撃を交わして枕を腕で払いのけることに成功した。


「ちょっと待て。なんで変態だよ……」


言われた言葉にムッとして更に一歩踏み出すと、智美はベッドの頭の方にお尻をずらして逃げた。


「平気な顔して裸で入って来ないでよ!!」

「裸って……お前、この間も変なこと言ってたけど、上だけだし、別にいいだろ!?」

「勇希は、ただのルームメイトの部屋に裸で押し入って平気な男なんだ!?」

「いや、それは……っつーか、ルームシェアなんかしたことないし、わかんないけどさ」
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