焦れきゅんプロポーズ~エリート同期との社内同棲事情~
「……っ! な、何すんのよ! 離して!!」


一瞬遅れて状況を把握した智美が、俺を見上げて声を張り上げた。


「話したいんだよ。こんなことしたくないけど、智美を待ってたらキリがないから……」

「あんたは、ただのルームメイトを簡単に押し倒す男なの!?」


真っ赤な顔で喚きながら、手の自由を取り戻そうと、智美が俺の下で必死に身を捩っている。
そんな智美を見下ろしながら……。


「おい、ちょっと待て。あんまり動くと……」

「え?」


智美が一瞬身体を動かすのを止めて、少し浮かせた頭を下に傾けるように、俺が目線を向ける先を確認する。


「っ……!!」

「……言っとくけど、俺のせいじゃないからな」


それだけは断固として、先に主張しておく。
智美があんまり暴れたせいで、シーツと摩擦した智美のTシャツが、胸元近くまで捲れ上がってしまったのだ。


「何言ってるのよ、勇希が乱暴なことするからじゃない! 離して! 見ないでってばっ!!」


まるですごい悪い男にされた気分だ。
俺は顔をしかめて深い息を吐いた。


――けれど。


限界ギリギリまで首を捻って、真っ赤な顔を俺から背ける智美に、俺は一瞬ゴクッと唾をのみ込んだ。
そして、智美の手を繋ぎ止める手に力を込めながら、自由な左手を剥き出しになった智美の脇腹に滑らせる。
途端に、智美の身体がビクッと震えた。
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