焦れきゅんプロポーズ~エリート同期との社内同棲事情~
『もっと……』
浅く短い眠りから覚めた時、隣に勇希はいなかった。
夜中までは確かに背中で勇希の気配を感じていたし、ベッドにもわずかに温もりが残っている。


私がほんの少し微睡んでいる間に先に起きて行ってしまったのか。
朝から顔を合わさずに済んでホッとしながら、どこかで寂しい気分にもなる。


気付けば喧嘩してから一週間が過ぎた。
いつもならそろそろ仲直りのタイミングだけど、さすがに今回はそう簡単にはいかない。
ここまでこじらせたのは私だ。
私が答えを見つけなければ、このまま深みに嵌っていくだけだと思い知った。


ベッドの上で膝を抱えて、そこに額を預けながら、私は一度大きく肩で息を吐いた。


何をしてるんだろう、私。


勇希に告げた別れは、確かにあの時の私の本心だった。
これ以上続ける意味がない。
六年も付き合った人だし、嫌いになって別れたくないから、勇希への想いが完全に消えて失くなってしまう前に、別れておいた方がお互いの為になる。


それが正しいと思っているのに、私はどうしてこんなに揺れているんだろう。


勇希が何か言う度に、『違う、そうじゃない』と心の中で反論する。
そうじゃなくて、もっともっと――。


その先があまりに曖昧で、言葉にも態度にも出せずにいるのに。
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