焦れきゅんプロポーズ~エリート同期との社内同棲事情~
外出ランチで入ったイタリアンレストランで、向かい合って座った佳代がクスクスと楽しそうに笑っている。
私たちの前には、このレストランの人気メニュー、仔牛のミラノ風カツレツのお皿がサーブされていた。
「そっか、良かった~。智美がそういう気持ちになったってことは、もちろん六年目の別れの危機は回避出来るってことだよね?」
『今更勇希にドキドキする』
自分でも戸惑いながらそう言った私に、佳代はいとも簡単にそんなことを言ってくれる。
だけど私はそう簡単には頷けない。
朗らかに笑う佳代に同じ気持ちで笑い返せない。
佳代は、ナイフで切ったカツレツを一口運んでゆっくり咀嚼してから、私の様子に気付いて、あれ?と首を傾げた。
「別れるの止めるんでしょ?」
「……なんか虫が良すぎるよね」
朝からずっと考えていたけど、私の心はどっちつかずで揺れていた。
「そんなの気にしなくていいんだよ~! いつもの喧嘩と同じで、ごめんねって仲直りすればいいじゃない。葛西君だって、智美と別れたくないって言ってるんだから」
焦れたように私を宥める佳代の言いたいこともよくわかる。
そう、私が一言そう言えば済む話なのだ。
だからこそ、今回ばかりは真剣に考えなきゃいけない。
私たちの前には、このレストランの人気メニュー、仔牛のミラノ風カツレツのお皿がサーブされていた。
「そっか、良かった~。智美がそういう気持ちになったってことは、もちろん六年目の別れの危機は回避出来るってことだよね?」
『今更勇希にドキドキする』
自分でも戸惑いながらそう言った私に、佳代はいとも簡単にそんなことを言ってくれる。
だけど私はそう簡単には頷けない。
朗らかに笑う佳代に同じ気持ちで笑い返せない。
佳代は、ナイフで切ったカツレツを一口運んでゆっくり咀嚼してから、私の様子に気付いて、あれ?と首を傾げた。
「別れるの止めるんでしょ?」
「……なんか虫が良すぎるよね」
朝からずっと考えていたけど、私の心はどっちつかずで揺れていた。
「そんなの気にしなくていいんだよ~! いつもの喧嘩と同じで、ごめんねって仲直りすればいいじゃない。葛西君だって、智美と別れたくないって言ってるんだから」
焦れたように私を宥める佳代の言いたいこともよくわかる。
そう、私が一言そう言えば済む話なのだ。
だからこそ、今回ばかりは真剣に考えなきゃいけない。