焦れきゅんプロポーズ~エリート同期との社内同棲事情~
素直に自分の気持ちに向き合えば、なんて単純で簡単な答えだったんだろう。
求めたのは、流されて辿り着く節目の年の結婚じゃない。
勇希が私に向けてくれる心が欲しくて、ちゃんと、いつまでも恋人でありたかった。
六年という長い恋人関係が、お互いの存在を空気に変えた。
馴れ合いだけで一緒にいる、よくわからない関係に陥った。
好きなのに。
恋人なのに。
心も身体も触れ合いを失って、どんな気持ちで始まった関係だったか、それすらわからなくなっていた。
「……もう一度、恋、したい。勇希と……」
ハッと大きく息をついて、振り絞るように言葉にした。
それが今の私の、紛れもなく正しい本心だった。
平日のお昼を過ぎたオフィス街は、誰もが忙しく慌ただしく速足で行き交う。
クラクションを鳴らしながら走り去る車。
いつもと変わらないそんな日常の風景の中で、私はグッと唇を噛んだ。
こんなことにならなければ気付けなかったなんて……。
私と勇希の六年って、なんだったんだろう。
「智美。それ、ちゃんと葛西君に言わないと」
自分に対する情けない思いでいっぱいの私に、佳代がとても静かに微笑んだ。
私の肩をポンと叩くその手がとても優しくて、私は何も言えずにただ頷いた。
求めたのは、流されて辿り着く節目の年の結婚じゃない。
勇希が私に向けてくれる心が欲しくて、ちゃんと、いつまでも恋人でありたかった。
六年という長い恋人関係が、お互いの存在を空気に変えた。
馴れ合いだけで一緒にいる、よくわからない関係に陥った。
好きなのに。
恋人なのに。
心も身体も触れ合いを失って、どんな気持ちで始まった関係だったか、それすらわからなくなっていた。
「……もう一度、恋、したい。勇希と……」
ハッと大きく息をついて、振り絞るように言葉にした。
それが今の私の、紛れもなく正しい本心だった。
平日のお昼を過ぎたオフィス街は、誰もが忙しく慌ただしく速足で行き交う。
クラクションを鳴らしながら走り去る車。
いつもと変わらないそんな日常の風景の中で、私はグッと唇を噛んだ。
こんなことにならなければ気付けなかったなんて……。
私と勇希の六年って、なんだったんだろう。
「智美。それ、ちゃんと葛西君に言わないと」
自分に対する情けない思いでいっぱいの私に、佳代がとても静かに微笑んだ。
私の肩をポンと叩くその手がとても優しくて、私は何も言えずにただ頷いた。